腎臓内科・外科

Medical treatment主な診療内容

慢性腎臓病の早期診断・進行予防に取り組んでいます。
健診で血尿、たんぱく尿、腎機能低下を指摘された方は、慢性腎臓病に注意が必要ですので、一度ご相談ください。
当院では腎臓専門医により、健診の結果説明から適切な治療の提案まで行っております。
透析予防指導の相談もお受けします。

chronic kidney disease 慢性腎臓病(CKD)

血尿、たんぱく尿などの障害や腎臓の機能が低下している状態が3ヶ月以上続くことをいいます。我が国には推定1,330万人(これは20歳以上の成人の8人に1人に相当します)もの患者がいると言われ、新たな国民病とも言われています。

CKDは生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、痛風など)やメタボリックシンドローム、腎炎、喫煙などさまざまな原因によって起こりますが、初期の段階では自覚症状がない事がほとんどです。そのため、健診や偶然受けた尿検査や血液検査で病気が見つかる事が多いです。慢性腎臓病の問題点は、腎不全をまねいて透析が必要となったり、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)の危険が増す事です。

早期発見、早期治療介入によりCKDの予防、あるいは進行抑制を図るためには、食事療法、運動療法、薬物療法、禁煙といった生活習慣の改善を、患者自身が主体的に取り組むことが重要です。しかし、一人で取り組もうとしても継続することは容易ではありません。私たちは、この課題に対して無理なく取り組めるよう、多職種でサポートして参ります。

問診、診察、検査結果(血液・尿検査、画像所見、腎生検※)などから診断、治療方針をご説明します。

  • 腎生検(腎臓の組織検査)が必要な場合は、高次医療機関を紹介いたします。

urinary occult blood 尿潜血

目で見てわかる「血尿」と異なり、検査をして初めて見つかる「尿潜血」は軽視される傾向にあります。尿中に赤血球が混じるのは、腎臓や尿の通り道(尿管、膀胱、尿道)になんらかの異常が起きていることの現れです。一過性で、大きな問題のないものから、放置すると腎機能の低下をきたす疾患や泌尿器科(結石、がん)で扱うような病気も含まれます。

尿潜血を指摘されましたら、一度当科への受診をご検討ください。

urinary protein 尿蛋白

これまでの研究により、尿蛋白の程度が強いと、「末期腎不全(血液透析などが必要となる状態)」や心筋梗塞や脳卒中など「動脈硬化性疾患」のリスクとなることがわかっています。

尿蛋白の成因には、腎臓に限局した病気(糸球体腎炎など)と、高血圧、糖尿病、肥満、膠原病など全身の病気が挙げられます。病態の改善を図るためには、それぞれの要因に対し適切な介入を行う必要があります。

尿蛋白を指摘されましたら、一度当科への受診をご検討ください。

acute renal failure 急性腎不全

急性腎不全は、何らかの原因により腎機能が急速に低下した状態です。そのような状況では、それまで腎臓がバランスを保っていたナトリウム、カリウム、カルシウムといったミネラルのバランスが崩れ、倦怠感、嘔気、浮腫みや血圧が急激に上昇して息苦しさを自覚されたりします。

急性腎不全に陥った原因を調べ、即座に適切な介入を行うことが重要です。
状況次第では、一時的な血液透析療法が必要となる場合もあるため高次医療機関へ紹介します。

chronic renal failure 慢性腎不全

慢性腎不全は、中等度以上の腎機能障害を来した状態で、残念ながらもはや回復は望めません。体内への尿毒素の貯留、水分やミネラルバランスの崩壊、体液の酸性化、貧血の進行といった状態が顕在化してきます。

慢性腎不全の治療は、そのような状態に対し、腎臓の働きを補う薬剤の調節が中心となり、外来通院の際に投与量の調整を行うこととなります。腎障害が進行し、ほとんどの正常組織が荒廃した末期腎不全の段階に至ると、もはやそのままでは生命を維持することが難しくなり、腎移植を行わない限りは、生涯にわたり透析療法が必要となります。

糖尿病性腎臓病

糖尿病は、高血糖が持続することで全身の血管や様々な臓器が障害される病気で、腎臓も例外ではありません。近年、血糖値をコントロールする薬が多数開発され、比較的容易に血糖直をコントロールすることができるようになりました。
しかし、2010年に我が国の末期腎不全に至る原因疾患の第一位となって以来、糖尿病性腎臓病が一位の座を譲らない状況が続いています。糖尿病性腎臓病の初期段階は、尿検査を行って初めて気づくものであり、血液検査で「腎機能低下」を指摘されてからでは、腎臓の健康状態を保つことが難しくなります。
合併することの多い高血圧、脂質異常症、高尿酸血症などに対し、尿検査や血液検査の結果を参考に適切な治療薬を選択し、尿検査や血液検査の結果を指標に投与量を調節することが、糖尿病性腎臓病の進行抑制において大変重要です。

当院では、受診当日に尿検査および血液検査の結果が得られ、遅滞なく投与量の調節を行うことができます。

腎硬化症

腎硬化症は、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病、喫煙などによって生じた動脈硬化による腎障害です。
現在、日本の透析導入原因の第3位を占め、高齢化が進む中、増加する傾向が認められます。
腎硬化症の治療は、上記のリスク因子全てへの介入が必要です。腎硬化症に至った腎臓内には、動脈硬化の程度の異なる動脈が混在します。高度な動脈硬化に至ると血流量が減少し、糸球体は萎縮します。一方、軽度な動脈硬化の場合、血液量が相対的に増え、糸球体は風船のように膨らみ、尿蛋白が生じます。この相対する病態が、同一の腎臓内に様々な割合で存在します。
腎硬化症を合併した高血圧に対する治療薬の選択において、たんぱく尿の有無、全身血管の動脈硬化の程度、血液検査の結果を参考に、適切な治療薬を選択することが、腎障害抑制において大変重要です。

当院では、受診当日に尿検査、全身血管の動脈硬化の評価、および血液検査の結果が得られ、遅滞のない治療介入を行うことができます。

glomerulonephritis 糸球体腎炎

腎臓の濾過装置である糸球体に炎症が生じ、たんぱく尿や血尿が出る疾患を総称して糸球体腎炎と言い、急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎の2種類があります。

急性糸球体腎炎

急性糸球体腎炎は、咽頭炎や扁桃炎などの感染症の1~3週間後に、たんぱく尿・血尿、尿量減少、むくみ、高血圧を呈します。小児や若年者に多い疾患ですが、成人や高齢者にもみられます。
治療としては、安静、保温のほか、水分、塩分、たんぱく質の摂取制限が行われます。また、細菌感染が確認された場合には抗生物質、高血圧に対しては降圧薬が使用されることもあります。ほとんどの場合、後遺症無く治癒します。

慢性糸球体腎炎

慢性糸球体腎炎(慢性腎炎)は、たんぱく尿や血尿が長期間持続するものを言います。
原因は、免疫反応の異常によるものが多いと考えられています。尿たんぱくや尿潜血に加え、原因となる疾患の症状が現れます。また、慢性糸球体腎炎の経過中に急性糸球体腎炎様の症状を呈することもあります。
原因となる疾患は、年齢、臨床経過、尿所見などによってある程度推測できますが、確定診断のためには腎生検(腎臓の組織を採取し詳しく調べること)が必要です。その診断に基づいた治療指針に従って治療を行い、腎障害進行の抑制を図ります。

nephrotic syndrome ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は、血液中の重要な蛋白が尿中に大量に漏出する病態で、その結果、血液が濃縮され、血が固まりやすくなる病気です。しばしば「尿の泡立ち」や、体重増加、むくみ、だるさ、などを自覚されます。
ネフローゼ症候群をきたし易い病態(糖尿病性腎臓病、肥満関連腎症など)が存在する場合はその治療を行い経過観察することもありますが、ネフローゼ症候群は感染症や血栓症等を合併しやすく、時間的な猶予があまりないため、一般的には腎生検を行い病態を解析し、適切な治療法によって介入することが重要です。一部の病態では、悪性腫瘍による症状として現れることがあり、早期発見のためにも積極的に検査を行うことも重要です。