enlargement of the prostate前立腺肥大症
前立腺とは男性のみにある臓器で膀胱の下で尿道を取り巻くように存在しています。
加齢とともに大きくなっていき、50歳代では半数ほどが前立腺肥大となっていると考えられています。原因は加齢や男性ホルモンの影響等が考えられています。その結果、尿道を狭くして症状としては、尿の勢いの低下、残尿感、頻尿、尿意切迫感などの症状が出現します。
大きくなった前立腺を長期間放置すると、残尿(排尿後に膀胱に残る尿)が増えてしまい、感染や腎機能障害などを引き起こす原因となることがあります。
排尿症状を、国際前立腺症状スコア(I-PSS)で確認し、エコーで前立腺体積測定、尿流流量測定、残尿検査、尿検査を行います。また、前立腺がんとの鑑別が必要となることがありますのでその時はPSAを測定します。
治療は自覚症状がなければ経過観察となります。排尿障害があればお薬での治療が中心となります。現在前立腺肥大に対しては様々なお薬がありますので、状態をみながら調整していきます。
お薬での治療でも改善が難しい場合は手術治療が適応となります。その場合には、高次医療機関を紹介いたします。
前立腺肥大症セルフチェック
国際前立腺症状スコア(I-PSS)
どれくらいの割合で次のような 症状がありましたか |
全くない | 5回に1回未満 | 2回に1回未満 | 2回に1回くらい | 1回に1回以上 | ほとんどいつも |
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質問1 排尿後、尿がまだ残っている感じがありましたか? |
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質問2 排尿後、2時間以内にトイレに行きたくなったことはありましたか? |
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質問3 排尿の途中で尿が切れることがありますか? |
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質問4 排尿を我慢するのがつらいことがありましたか? |
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質問5 尿の勢いが弱いことがありましたか? |
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質問6 排尿時にいきむ必要がありましたか? |
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質問7 夜寝てから朝起きるまで、何回トイレに行きましたか? |
合計 |
0点
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合計点数と評価
Overactive bladder過活動膀胱
トイレに行ったばかりなのにすぐにトイレに行きたい、長時間のバス移動などでトイレに行きたくならないか心配。このようなお悩みをお持ちの方は過活動膀胱の可能性があります。
過活動膀胱とは、尿意切迫感(我慢するのが困難なほどの強い尿意が突然する状態)があり、普通は昼間と夜間の頻尿を伴う病気です。40歳以上では1割以上の人に過活動膀胱の症状があるとされていて、高齢になるほど有病率は上昇します。
過活動膀胱であるかどうかは、基本的には、過活動膀胱症状質問票(OABSS)にて、症状から診断を行いますが、膀胱結石、膀胱炎、膀胱がん等の他の病気でも同じような症状が出現することがありますから、状況によっては尿検査、超音波検査、膀胱鏡などによりその他の疾患の除外が必要となります。
過活動膀胱となる原因としては、脳血管障害、パーキンソン病、脊柱管狭窄、椎間板ヘルニアなどの神経の病気の場合と、それ以外には前立腺肥大症、骨盤臓器脱、加齢などの他、原因不明の場合もあります。
過活動膀胱の治療は、行動療法、薬物療法、その他の治療法があります。
行動療法は、生活指導(減量など)、膀胱訓練(排尿をなるべく我慢する訓練法)、定時排尿(決まった時間に排尿をする方法)、理学療法(骨盤底筋訓練など)などがあります。
薬物治療には、排尿回数を減らしたり、尿意切迫感をおさえるためのお薬を使います。
その他の治療方法として、例えば前立腺肥大症があるなど過活動膀胱の原因となる病気が明らかな場合は、その病気の治療(手術等)をすることがあります。
参考:過活動膀胱 診療ガイドライン.リッチヒルメディカル,東京,2015.
過活動膀胱セルフチェック
過活動膀胱症状質問票(OABSS)
質問 | 頻度(点数) |
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質問1 朝起きた時から寝る時までに、何回くらいおしっこをしましたか |
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質問2 夜寝てから 朝起きるまでに、何回くらいおしっこをするために起きましたか |
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質問3 急におしっこがしたくなり、我慢が難しいことがありましたか |
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質問4 急におしっこがしたくなり、我慢できずにおしっこをもらすことがありましたか |
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合計 |
0点
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質問3が2点以上 または 合計点数が3点以上 の場合・・・
あなたの症状は過活動膀胱が疑われます
urinary incontinence尿失禁
尿失禁とは自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられています。40歳以上の女性の4割以上が経験しており、実際に悩んでおられる方は実は大変に多いのですが、恥ずかしいので我慢している方がほとんどです。
尿失禁の状態や原因に応じてきちんとした治療法がありますので、我慢せずに相談してください。
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腹圧性尿失禁
重い荷物を持ち上げた時、走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまうのが腹圧性尿失禁です。
女性の尿失禁の中で最も多く、週1回以上経験している女性は500万人以上といわれています。これは骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こり、加齢や出産を契機に出現したりします。荷重労働や排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を傷める原因になるといわれています。 -
切迫性尿失禁
急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。トイレが近くなったり、トイレにかけ込むようなことが起きたりしますので、外出中や乗り物に乗っている時などに大変に困ります。本来は脳からの指令で排尿はコントロールされていますが、脳血管障害などによりそのコントロールがうまくいかなくなった時など原因が明らかなこともあります。しかし多くの場合、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまい、尿意切迫感や切迫性尿失禁をきたしてしまいます。男性では前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱も切迫性尿失禁の原因になります。
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溢流性尿失禁
自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまうのが溢流性尿失禁です。この溢流性尿失禁では、尿が出にくくなる排尿障害が必ず前提にあります。排尿障害を起こす代表的な疾患に、前立腺肥大症がありますので、溢流性尿失禁は男性に多くみられます。ほかに、直腸がんや子宮がんの手術後などに膀胱周囲の神経の機能が低下してしまっている場合にもみられます。
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機能性尿失禁
排尿機能は正常にもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる尿失禁です。たとえば、歩行障害のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のためにトイレで排尿できない、といったケースです。この尿失禁の治療は、介護や生活環境の見直しを含めて、取り組んでいく必要があります。
Pelvic disarticulation骨盤臓器脱
骨盤内の膀胱、子宮、直腸が膣口から脱出する状態です。
原因は女性の骨盤の構造的な問題、出産、加齢などがあります。
自覚症状としては、尿失禁、頻尿、排尿困難感などの排尿のトラブル、他にも、臓器脱による下垂症状(排便後などに、脱出した臓器が指で触れる等)、排便機能障害、性機能障害などが生じます。
治療は生活指導から始まり、薬物療法で行います。症状がひどい場合はサポート下着、リングペッサリー、手術治療が必要な場合もあります。
Genitourinary syndrome of menopause閉経後尿路生殖器症候群
GSM(閉経後泌尿生殖器症候群)とは、閉経後の女性ホルモン低下に伴う、外陰・膣の萎縮変化およびそれに伴う不快な身体症状症候群のことです。
慢性かつ進行性の疾患で、閉経後の女性の50%に何らかの症状を認めます。膣乾燥感、掻痒、性交痛といった膣の症状は広く知られていますが、放置すると症状は尿道にも現れ、尿失禁、頻尿、繰り返す尿路感染症も引き起こすことが最近わかってきました。症状に対する薬物療法だけでなく、女性ホルモン補充、レーザー治療なども有効なことがあります。
neurogenic bladder神経因性膀胱
神経因性膀胱とは脳神経の病気(脳梗塞、脊髄損傷、パーキンソン病など)、糖尿病、高度な前立腺肥大症などが原因となり、正常な蓄尿、排尿が出来なくなっている状態です。
通常、膀胱に尿がたまると脳神経に尿が溜まったことが伝達され尿意を感じ、それに応じて脳から排尿の指令が出されます。
神経因性膀胱では膀胱の知覚・運動機能が鈍感になり、尿意を感じることが出来なくなったり、尿を全て出し切ることが出来なくなったりします。その結果、残尿が増えてしまい、尿漏れ、感染、腎機能障害を引き起こすこともあります。
初期は自覚症状に乏しく、診断がついた時には腎機能がかなり悪くなっているというような方もいます。
治療は内服から開始しますが、内服では改善しない方が少なくありません。そのような場合は自己導尿、尿道カテーテル留置が必要になります。
出来る限りカテーテルを使わない自然な排尿が出来るようお手伝いさせていただきます。
自己導尿指導 - 自己導尿が必要な方へ -
糖尿病や神経疾患が原因で排尿がうまく出来なくなると排尿後の残尿が増えていきます。 残尿が増えると残尿に雑菌が入り、感染を引き起こします。膀胱が高圧となると膀胱機能が失われるだけでなく、腎臓まで高圧となり腎機能が悪くなってしまう可能性があります。
適切な時期に自己導尿を導入することで膀胱内圧を下げることで感染予防、膀胱機能保持、腎機能増悪予防の効果があります。
自己導尿には抵抗があると思いますが、適切な時期に導入し適切な手技を身につけることがとても大事です。
当院では自己導尿指導に力を入れており、個人個人にあったカテーテルの提案、指導を行っていきます。定期的に看護師と手技の確認を行うことで、長期に渡りQOLを保つことが可能です。
Urolithiasis尿路結石症
腎臓、尿管、膀胱と尿の通り道に石が出来てしまった状態が尿路結石です。
場所によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石と呼びます。
原因は生活習慣にあることがほとんどです。同じ食生活の家族にも発生しやすいことが知られています。
腎臓結石や膀胱結石は症状が少なく気づかないこともありますが、尿管結石は大きさにより痛みや発熱などの症状を出します。尿管結石が尿の通り道を完全に塞いでしまうと腎臓が腫れて激しい痛みを伴います。このような場合は緊急の処置が必要になることもあります。
通常1cm未満の尿管結石は自然排石(尿に混じって石が体外に出ること)が期待できます。一部の成分の結石はお薬で溶かすことが出来る場合もあります。
放置すると腎不全に進行したり、腎盂腎炎を発症することもありますので早めの受診をお勧めします。
また、腎臓や尿管に結石がある方は定期的にエコーやレントゲン検査を受けることがガイドラインでも推奨されています。
Urinary tract infections泌尿器感染症
急性膀胱炎
若年女性、閉経後の女性に多く起こります。
飲水量の不足、尿意の我慢、冷え、過労、性行為などが発症の原因と考えられています。
主な症状としては排尿時痛、残尿感、頻尿、下腹部の違和感、尿混濁などがありますが、個人差があります。
急性膀胱炎は細菌感染が膀胱内で起こることで生じます。混濁尿が血尿として見えることもありますが、膀胱内で炎症が起こると、炎症による影響により血尿が生じることがあるためです。
尿検査にて膿尿(感染を起こした尿に膿が混じっている状態)、細菌尿を確認することで診断します。
治療は抗生剤を内服しますが、通常3日間前後で症状は改善します。膀胱炎の予防は尿意を我慢しないこと、水分摂取が十分であることが重要です。また、性行為が発症のリスクとなることから性行為後の排尿が有効とも考えられています。
急性腎盂腎炎
膀胱内で起きた炎症が、尿管を伝わり、腎臓付近まで炎症が波及することで発症します。膀胱炎症状が先行することが多く、その後に発熱、背部痛などの症状が出現した時は急性腎盂腎炎を疑います。
膀胱炎と同様に尿検査にて膿尿、細菌尿を認めますが、膀胱炎と異なる点として、発熱すること、採血検査にて炎症反応の上昇を認めることが多いです。
膀胱炎と同様に細菌による感染症なので抗生剤で治療しますが、膀胱炎よりも、重症化することが多く、点滴などを含めた入院による治療が必要となることがあります。
予防方法としては、膀胱炎がきっかけとなり発症することが多いため、膀胱炎と同様に尿意を我慢しないこと、水分摂取を十分にとることなどが重要となります。
急性細菌性前立腺炎
頻尿、排尿時痛、排尿困難などの症状が出現します。発熱を伴い、敗血症といった重症感染症に至る場合もあります。
細菌による尿路の逆行性感染により発症しますが、前立腺肥大症や神経因性膀胱などの基礎疾患があることにより発症する場合が多いです。
診断は尿検査、採血検査、直腸診、画像検査などで行います。尿、血液にて細菌の検査もその後の治療評価のために併せて行います。尿検査では細菌感染を示す膿尿を認めることが多く、採血では炎症反応の上昇を認めます。
治療は細菌の感染に対して抗生剤治療を行い、排尿障害が強い場合は尿道カテーテルという管を尿道に留置する場合があります。また、重症化することがあるため、病態によっては入院加療が必要となることもあります。
急性精巣上体炎
症状は陰嚢の腫れと疼痛、熱感、発赤で、徐々に進行し、発熱も伴います。尿路から精子の通り道である精管を通じて起こる細菌感染症です。高齢者では前立腺肥大症、尿道カテーテルの留置などが原因となり、若年者では性感染症が原因となることが多いです。
診断は視診、尿検査、採血検査などで行いますが、若年男性の場合性感染症の検査も併せて行う場合があります。尿、血液にて細菌の検査もその後の治療評価のために併せて行います。採血では炎症反応の上昇を認めます。
治療は細菌の感染に対して抗生剤治療を行います。疼痛、発赤は数日で改善することが多いですが、改善後の陰嚢腫大、硬結は数週間程度残る場合があります。急激な陰嚢の痛みは急性精巣上体炎以外で、精索捻転という病気でも起こります。精索捻転は早期の対応が必要となり、加療が遅れると精巣が壊死する可能性もありますので、陰嚢に急激に痛みが生じた場合は早めに受診をしてください。
亀頭包皮炎
子供に多い病気で、包皮の腫れ、発赤、疼痛が症状となります。子供は包茎であることが多く、包茎にたまった恥垢が原因で発症することが多いです。
治療は抗生剤の内服、軟膏にてほとんどの方が改善します。包茎が原因で発症しているため、無理やり包皮を翻転(包皮をむくこと)すると、炎症の再燃の原因となるので、行わないようにしてください。特にご両親が包茎を心配され無理に翻転し発症している場合もあります。子供はほとんどが包茎ですので急いで翻転する必要もありません。
亀頭包皮炎は一般的には数日で軽快します。亀頭包皮炎は繰り返す場合もありますが、手術は特に包皮の癒着が強い場合のみとなり、まずは包茎改善のためにステロイドの軟膏を使用することが多いです。
sexual infection性感染症
性感染症とは性行為によって感染する病気の総称です。「STD」(Sexually Transmitted Diseases)、「STI」(Sexually Transmitted Infections)とも呼ばれています。
代表的な性感染症には淋病、クラミジア、梅毒、ヘルペス、コンジローマ、カンジダ、B型肝炎、C型肝炎、HIV(エイズ)などがあります。最近ではマイコプラズマやウレアプラズマを原因とした非淋菌性非クラミジア性尿道炎と言われる典型的で無い難治生の尿道炎も増えてきています。放置すると不妊の原因、腹膜炎を起こして命に関わることもあります。
思い当たる節のある方は早めに受診、治療を受けることをお勧めいたします。パートナーがいる方は症状が無くても2人で検査することをお勧めいたします。
urological cancer泌尿器科がん
泌尿器科で扱うがんはおしっこの通り道に出来るがんが多くあります。
具体的には腎臓がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がんです。稀ながんとしては精巣腫瘍や尿道がんなどもあります。
前立腺がん
前立腺がんは男性特有のがんで、かなり進行するまで症状が無いことがほとんどです。
食事の欧米化に伴い、日本でも爆発的に患者数が増えています。2016年のがん統計では男性の罹患数で第2位となっており、増加率からはいずれ1位になると言われています。
症状が乏しいがんなので、検診が非常に重要です。検診は採血でPSAという腫瘍マーカーを測って行います。
早期発見、治療を行えば死亡率は非常に低いがんですので50歳を超えたら年に1度はPSA検診をお勧めいたします。PSAが高い場合には、前立腺生検による診断が必要です。
行連携医療機関で院長が生検を行います。 がんと診断された場合には、年齢、がんの進行度により手術治療、放射線治療、ホルモン療法を行います。
手術や放射線治療は、高次医療機関へ紹介となりますが、術後や放射線治療後のフォロー、ホルモン療法は当院でも可能です。
腎がん
腎がんは、腎臓にできるがんで、50歳代での発症が多いです。以前はがんが進行し、血尿、腰背部痛といった症状を訴えて受診する方が多かったようですが、現在では超音波検査、CT検査が普及したとこにより、無症状で、比較的早期に発見することが可能となりました。
がんが見つかった場合は手術治療が必要ですので高次医療機関を紹介します。腎臓を全部とる手術や、腫瘍のサイズによっては部分的に腫瘍のみをとる手術となります。
術後は、定期的なCTによるフォローとなります。術後のフォローは当院でも可能です。
腎盂がん、尿管がん、膀胱がんについて
腎盂がん、尿管がん、膀胱がんは尿の通り道に出来るがんです。血尿で発見されることが多いです。
目で見て赤いおしっこでは無くても顕微鏡で見ると血液が混じっていることがあります。
これらのがんは再発率が高く、早期発見、治療がとても大切です。
当院では院長自ら検尿を顕微鏡で行います。
血尿がある方はエコー検査やCT、膀胱鏡検査などの精密検査を当院で行うことが出来ます。
膀胱がん
膀胱のなかは移行上皮という細胞で覆われています。その細胞にがんが発生したものを膀胱がんといいます。
膀胱がんは高齢者に多く、喫煙、化学薬品などが発症リスクとなっています。膀胱がんの大半は痛みがなく、血尿のみを自覚症状とする場合が多いです。ただ、一部の膀胱がんでは頻尿、排尿時痛などを伴う場合もあるので注意が必要です。
検査は尿細胞診、超音波検査、膀胱鏡検査などを行います。尿細胞診は尿をとるだけですので、負担は少ないですが、悪性度が低い腫瘍の場合、結果が陰性となる場合があること、感染症等が発生していると、本当は腫瘍がないのに陽性となる場合があるなどの問題点があり、総合的に判断するための検査の1つとなります。
膀胱がんの治療は高次医療機関へ紹介します。まずは内視鏡で膀胱の腫瘍を切除する手術となります。これにより、本当にがんなのか、がんであればどれだけ深く進展しているかなどを判断し、手術の結果によっては膀胱全摘術などの追加の治療が必要な場合があります。膀胱鏡、細胞診、CTによる術後フォローは当院でも可能です。
腎盂尿管がん
移行上皮は腎臓のなかの腎盂という場所から、尿管へ続き、膀胱へと連続しています。そのため、膀胱の移行上皮でできたがんは膀胱がんですが、腎盂、尿管の移行上皮でできたがんは腎盂尿管がんといいます。
発症のリスクは膀胱がんと同様に喫煙、化学薬品などとなります。また、膀胱がんとの同時発症など、膀胱がんとの関連性が高いがんとなります。症状は膀胱がんのように痛み、発熱等の症状がなく、血尿のみを認める場合が多いですが、尿管の閉塞などが起こると、尿の流れが滞り、片側の腰、背部痛などがあわせて出現します。基本的には、腫瘍が存在する側の腎臓と尿管を摘出する手術が必要なため高次医療機関へ紹介します。膀胱鏡、細胞診、CTによる術後フォローは当院でも可能です。
精巣腫瘍
陰嚢が大きくなってきた場合は精巣腫瘍を疑います。20~30歳代に多い病気です。
親族に精巣腫瘍を発症した方がいる場合は高リスクとされています。精巣腫瘍は精巣内に発生する腫瘍で、一般的には痛みは伴わず、ゆっくりと増大していきますが、痛み等の症状を伴う場合もあります。
陰嚢が腫大する病気としては精巣腫瘍の他に、精巣上体炎、陰嚢水腫、精液瘤などの病気がありますが、精巣腫瘍はがんですので、早期の診断、治療が必要です。精巣腫瘍が見つかった場合は、まずは手術治療で精巣を摘出します。その後、腫瘍マーカー、CT画像等の検査結果から必要であれば化学療法等の追加治療が行われます。
精巣腫瘍は自己検査が重要な病気となります。自分で精巣を触り、普段よりも、大きさが大きくなっている、硬くなっている等の変化があった場合は、御相談ください。
LOH syndromeLOH症候群(男性更年期障害)
更年期障害というと女性特有の症状と思われがちですが、近年では男性にも発症することが注目されています。
原因は男性ホルモンの減少です。男性ホルモンは睾丸で作られており、筋肉や骨格を作ったり、性機能の維持するための役割の他に心理機能や脳の認知機能にも影響しています。加齢やストレスが原因となって男性ホルモンが減少することで上記症状が出てきます。
日本においてはまだ新しい概念ですが、経済的な不安など現代のストレス社会において男性ホルモンが減少している方が増えてきています。症状はうつ病と似ている部分も多く、うつ病の診断で抗精神病薬を漫然と投与されている方も見受けられます。現在の活力が無いことを年齢のせいだと諦めずに活力のある楽しい生活を取り戻しましょう。
診断は血中のテストステロン値を測定し、AMS(Aging Male Symptoms rating scale)スコアを利用した問診により診断を行います。うつ病との鑑別も重要です。テストステロンが低い場合は補充療法を行います。注射での補充と軟膏での補充方法があります。治療方法によっては保険外診療となる場合があります。
治療開始前のPSA値が高かったり、前立腺がんの診断を受けている方はテストステロン補充療法を受けることが出来ません。
補充療法以外にも漢方薬などの提案も出来ますので、是非ご相談ください。
LOH症候群(男性更年期障害)セルフチェック
AMS(Aging Male Symptoms rating scale)スコア
症状 | なし | 軽い | 中等度 | 重い | 非常に 重い |
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質問1 調子が思わしくない |
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質問2 腰や膝など関節や筋肉が痛い |
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質問3 急に汗をかいたり火照ったりする |
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質問4 寝つきが悪い ぐっすり眠れない |
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質問5 よく眠くなる疲れを感じる |
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質問6 いらいらする |
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質問7 神経質になった 落ち着かない |
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質問8 急に不安になる |
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質問9 意欲や行動力が低下した |
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質問10 能力の低下 |
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質問11 気持ちが沈む |
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質問12 人生の絶頂期は過ぎたと感じる |
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質問13 力尽きた、どん底にいると感じる |
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質問14 ひげの伸びが遅くなった |
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質問15 性的能力が衰えた |
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質問16 早朝勃起(朝立ち)が減った |
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質問17 性欲がなくなった |
合計点数と評価
合計 |
0点
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masculine nonpopulation男性不妊
不妊症の原因は1996年WHOの統計によると女性側のみの原因が41%、男性側のみが24%、男女ともが24%、原因不明が11%であり、男性因子の関与が約半数ほどあると考えられています。
男性不妊の原因としては、原因不明が半数ほどを占めますが、その他として、勃起障害、精索静脈瘤、精路障害、染色体異常、射精障害、性腺発育不全などがあります。
検査としては精液検査、身体所見、超音波所見、内分泌学的検査などがあります。治療としては、原因が明らかな場合、例えば、勃起障害であれば勃起を助ける薬の処方、精索静脈瘤があれば手術治療などを行いますが、不明な場合はホルモン薬などのお薬で加療します。高度な治療が必要な際は専門の施設に紹介させて頂きます。
nocturia夜尿症
「5歳以降で1ヶ月に1回以上、(夜間)睡眠中に不随意に尿を漏らすものが、3ヶ月以上続くもの」と定義されています。
5歳の時点で20%程度の小児でみられ、加齢と共に軽快していきますが、小学校入学移行、6歳頃からが治療の対象になると考えられています。夜尿症は基本的には発達とともに解消することが多く、その経過は良好ですが、稀に原因となる別の病気が隠れていることもあります。
夜尿症の原因としては、夜間多尿、排尿筋過活動、覚醒閾値の上昇、発達の遅れ、遺伝的素因などが多いですが、別の病気が隠れている場合は、その病気の治療をしないと治らない場合があります。
基礎疾患、併存症がない夜尿症の治療としては、まず生活指導、行動療法を行います。夜尿がない場合は夜間尿量を減らすことを目的として、夕食は就眠2時間前に済ませ、それ以降の飲水は極力制限し、就寝前に排尿を済ませる習慣を徹底するなどを行います。また、夜尿が減少した際などに御褒美をあげるなどもあります。
生活指導、行動療法で改善がない場合は、次の治療として、薬物治療(デスモプレシン点鼻薬、内服薬:夜間尿量を減少させることを目的とします)、夜尿アラーム療法となります。それらで効果がないときは膀胱の過敏性をおさえる薬等で治療をする場合があります。
参考:夜尿症 診療ガイドライン2016.診断と治療者,東京,2016.
phimosis包茎
包茎とはおちんちんの先端の包皮口が狭いために包皮をむいて亀頭を完全に露出できない状態をいいます。
包皮が全くむけないものを真性包茎、むくことは出来るが通常は亀頭を被っているものを仮性包茎などと呼ぶこともあります。包皮がむけない状態がいつ頃まで続くのかは子供によって様々です。生殖器が急激に成長する思春期(12才から15才頃)までに包皮は剥けるようになり、思春期を越えた男子では包皮はスムーズにむいて下げられるようになります。小児では、勢いよくオシッコが出なかったり、亀頭包皮炎を繰り返すようなら、包皮を剥く治療が必要です。
大人の仮性包茎は病的意義がありませんが、真性包茎やSEXが困難であったり亀頭包皮炎を繰り返す場合は治療をお勧めします。